病院から退院してくると、いよいよ育児開始です。出産後の体は、完全ではありません。自分ひとりですべてをしようと思わず、いろいろな人の助けを借りて、育児を行いましょう。
ママが心身ともにリラックスし、いつも安定した状態でいることが、赤ちゃんには、いちばんうれしいことです。ママも十分体をいたわりましょう。赤ちゃんが眠っているときは、できるだけ体を休めてください。
赤ちゃんの様子(目安)
ふっくらとした体つきに
からだの成長が、生涯でもっとも著しく、1日の体重増加は20~30gぐらい、身長は1か月で4cm前後のびます。2か月の終わりになると1日の体重増加が20~25g前後になり、徐々に落ち着いてきます。全体的にふっくらとしてきます。
表情が豊かに
1か月を過ぎるころから、表情が豊かになってきてママの顔を見て、にっこりとほほえむようになります。機嫌のいいときは、「アーア」「ングング」などの赤ちゃんことば〔喃語(なんご)〕が出始めます。赤ちゃんの目を見ながら、やさしく応えてあげましょう。また、視覚・聴覚が発達してきます。ママが声をかけると泣き止むこともあり、明るくはっきりした色のものをじっと見つめたり、目で追ったりします。
声をかけましょう
赤ちゃんが泣いている時に声をかけると、泣きやんだり、泣き方が変わったりすることで、聞こえていることが推測できます。「どうしたの?」「おなかがすいたかな?」など、やさしく声をかけましょう。家族の声を絶えず聞いていくことで、情緒が安定し、日々少しずつ成長していきます。声を通して安心感を与えます。
しっかり抱いて育てましょう
「抱きぐせがついて‥」と言われた時期もありましたが、抱くことで赤ちゃんに安心感を与えます。抱くことでママも赤ちゃんも互いに、匂い・声・感触・ぬくもりを感じ、こころが安定します。そして、安心感や信頼感を持ち、体全体で感じ取ります。ママだけでなく、家族みんなで、できるだけ抱くようにしましょう。
手足の動きが活発に
2か月に入ると手足の動きが活発になってきて、「のび」をしたり、足をバタバタさせ、シーツをけったりすることもあります。布製のおもちゃなどをにぎらせると、少しなら持つことができますが、おもちゃで遊ぶことはまだありません。手だけがよく動く、足だけがよく動く、どちらもまだ思うように動かないなど、同じ月齢の赤ちゃんでも成長の度合いはさまざまです。
授乳リズムが出来る
新生児期の頃にくらべると、起きている時間が長くなり、授乳の間隔が2~4時間おき、1日6~8回と安定してきます。夜間の授乳は減ってきます。授乳の回数にこだわらないことも大切です。
育児のポイント
外出・散歩について
生まれてからの約4週間を新生児期といいます。特に最初の2週間は、お母さんの体内とはまったく違う環境の中で、自分の力で育っていくことに慣れるのに大切な時期です。赤ちゃんを連れての外出は、必要最小限にしましょう。散歩は、首がすわってからが目安です。
1か月健診は必ず受ける
健康に育っているようにみえる赤ちゃんでも、1か月健診で異常が発見される場合もありますので、必ず受けましょう。日ごろ、赤ちゃんの様子を見ながら、聞きたいことや気になることなどをメモしておくとよいでしょう。
衣服は脱ぎ着のしやすいものを
おむつ換えの時に、汚れがついたり、汗をかいたりと、着替えることが多い日もあります。ボタンやひもなどがはずしやすく、首周りのゆるやかなものなど、脱ぎ着のしやすいものを着せましょう。
トラブル対策
うんちにも個人差がある
赤ちゃんの排便の回数には、個人差が大きいものです。また、形状もさまざまで、機嫌がよく、母乳やミルクをちゃんと飲み、体重も増えているなら、心配ありません。ただ、排便時に肛門が切れたり、血が出たりと気がかりなことがあれば、医師に相談しましょう。 うんちは健康のバロメーターです。おむつを換えるときは、うんちをよく観察し、気づいたことは、メモをしておきましょう。
かさぶた ~無理に取らないようにしましょう~
生後1~3か月くらいまでの赤ちゃんの頭に黄色いかさぶたができることがあります。これは“脂漏(しろう)”と言って湿疹の一種で特に気にする必要はありません。気になるようなら、オリーブオイルでマッサージをし、入浴時に洗い流しましょう。
鼻水・鼻づまり
赤ちゃんの鼻腔(鼻の穴)は狭いだけでなく、粘膜が非常に敏感です。そのため、ちょっとした気温の変化やウイルス感染によって、鼻水が出やすくなったり、粘膜がはれたりします。しかし、赤ちゃんの機嫌がよければ問題ありません。黄色や緑色の鼻水になったり、せきや熱が出る症状が出たりしたら、医師に相談しましょう。
泣き止まない
赤ちゃんが泣きだしたら次のことをやってみましょう!
- 授乳する
- おむつを替える
- 赤ちゃんに話しかける
- 暑くないか寒くないか服や布団を調節する
- どこも痛くないか、苦しくないか、いつもと違う様子はないか確認する
- 抱っこしてゆっくりしたリズムで揺らしてみる
- 散歩に出かけて、赤ちゃんの気分を変える
- 柔らかい布で赤ちゃんが苦しくないようにくるむ(お腹にいた時と同じようにすると赤ちゃんが安心します)
- 穏やかな音楽をかけたり、歌を歌う
季節の過ごし方
初夏から夏ごろ
クーラーで体を冷やしすぎたりしていませんか? 汗をかくことも大切です。汗をかいたら、湿疹予防に、こまめに着替えましょう。虫刺されにも注意が必要です。
秋ごろ
温度も快適で空気もすがすがしく育てやすい季節です。このころから薄着の習慣をつけておくと、寒さに負けない丈夫な体になります。
冬ごろ
夜中の授乳は寒いので部屋は暖かくしましょう。また、洗濯物の乾きが悪いので、着替えは多めに準備しましょう。
春ごろ
だんだん気温が高くなってきます。重ね着や厚着していませんか? 気温の変化に気をつけて、衣類の調節にも気を配りましょう。(保育士)
乳幼児揺さぶられ症候群
赤ちゃんは頭が重く、首の力が弱いので、早く、激しく揺さぶられると脳に衝撃が加わって損傷を受け、重い障害が残ったり、時には命を落とすことがあります。
赤ちゃんを横抱きでゆっくり揺らします。首が座ったら、たて抱きも出来ますが、首に負担をかけないように軽く頭を支えながら、ゆっくり揺らしましょう。